渚のさむらひ 三人ヲトメ
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 



  ◇ 回想・その2 ◇



翌日は朝からそれはいいお天気となったので。
遅くまでごしょごしょしていて、少しだけお寝坊したお嬢様たち三人、
新鮮なアジを柔らかく風味豊かに加工した“一夜干し”と、
産みたて卵の出し巻き玉子に、そうめんのお澄まし、
納豆に味付けのりに、何より、
炊きたてらしいつやつやのご飯に約1名ほどうっとりしつつも、
お腹をこしらえてのさて。

 「では、情報を集めましょうか。」」

今の時点じゃあ、状況的な断片ばかり。
けしからん怪談話を粉砕したければ、
その大元の怪しい灯火の正体を見極めねばならない。

 「シチさんのお父さんの作品のためにも、
  此処をややこしい取引のメッカにしちゃいけませんものね。」

ソンブレロのように大きなツバの麦ワラ帽子は、
陽やけ避けにとそのお父さんが大真面目で愛娘へ持って行かせた代物で。
そんなコミカルなものをかぶっての、キャッキャとはしゃぎつつ、
水着プラス、ジレやパレオという華やかないで立ちで、
離れ屋から直接出られるという浜辺へ着いた三人娘だったところが、

  「……………え?」
  「おや?」
  「?????」

打ち寄せる波の音も涼やかな、海辺の広場。
まだ午前中だというに、すっかりと陽の明るさに照らされ過ぎて、
目映いまでのハレーションを起こしている砂浜には、
著名な海水浴場のようなにぎわいはないながら、
それでも穴場として こそりと有名な土地なりの人の出があって。
若いグループや、親子連れなどが、思い思いにはしゃいでおり、
波打ち際前、なだらかな浜へとレジャーシートを敷いたり、
少し先の浜茶屋へ荷物を預けていたりという光景が広がっていたのだが。
そんな方々が、さわさわさわっと気配のリレーをしたそのまんま、
ほぼ一斉にこちらへ注目して来たのへは、
さしものお騒がせお嬢様がたも、
此処では まだ何かしでかした覚えがないせいか(おいおい)、
何だ何だと面食らったようで。

 「…お顔にご飯粒とかついてますか?」
 「ついてませんて。」
 「〜〜〜。(否、否、否)」
 「この帽子、そんなに笑えますかしら。」
 「いやぁ、シチさんみたいなスタイルのいい子がかぶっていれば、
  ずんと おしゃれだと思いますが。」
 「………。(頷、頷、頷)」

じゃあ何だこの注目はと、
結構勇んで出て来た勢いもどこへやら、
たじろぎかかったお嬢様たちへ、

 「あ、草野さんですよね。」

横合いからのお声がかかり、はいとお顔を向けたれば。
茶色の髪をポニーテイルに束ね、
ピンクやオレンジの可愛らしいアロハに
バミューダパンツという すっきりしたいでたちの、
大学生くらいだろうか、彼女らより少し年上のお姉様が、
少し浜寄りに立っており。
おいでおいでと手招きされたので、お顔を見合わせつつも従えば、

 「網元の女将さんからご案内をと聞いてます。」
 「………え?」

にっこり微笑ったお姉さんは、
後で判ったのだが、やはり浜茶屋へバイトに来ていた近所の大学生なのだとか。
そんな彼女に先導されて波打ち際へは向かわず、茶屋の方へも向かわずに、
来たままの側に沿って少し下ると、
そこにはいきなり…ウッドデッキのついた四阿(あずまや)が。

 「……なんでしょか、これ。」

あまりに新品で、それゆえに周囲から微妙に浮いており。
まるで舞台の書き割りみたいなんですがと、
ついつい見たまま…感じたことを口にすれば。

 「あはは、やっぱりそう思うよねぇ。」

楽しそうに笑ったお姉さんも、いやさ、此処に来ていたバイトの方々 皆して、
大人のやることはもうと、少々呆れていたらしかったが、

 「でもねぇ、あなたたちを見たらおじさんたちの気持ちは判ったなぁ。」
 「はい?」

さっきもサ、居合わせた皆してあなたたちへ大注目だったでしょうが。
あんまり綺麗だから
“どこのモデルさんたち?”って、呆気にとられたからだよと、
からりと言ってのけてから、

 「あたしたちも全員、粗相のないようにって言い渡されてるし、
  この離れ家の回りは、一応網元さんの持ち浜とかいう区域なんで、
  滅多なことじゃあ誰も踏み込めないから安心してね。」

そうと説明してくださり、さあと中を見せてくれて。
屋根のある部分の内部は、
茶屋と同んなじような薄べりの床に花ござ敷きという作りで、
それでも休憩所としては十分な出来であり。
砂地にじかにシートを敷いて寝そべる習慣は、
もしかしてお持ちではないのかもしれないぞとでも、

 「…思われたのかもしれないね。」
 「それでデッキチェアなんだね。」

しかもウッドデッキというテラス付き…なんてな至れり尽くせりぶり。
此処へ案内される人たちなんだと、
見世物扱いの末に笑い者にされるのかと思ったが、
そこだけは杞憂だったらしく。

 「飲み物や何や、ご所望のものがありましたら、
  中のテーブルへ携帯を置いておきますので、
  それでお申し付けくださいませね?」

そうと言ってから、だが、

 「勿論、店のほうへ来られても大歓迎だからねvv」

透明感さえあるほどに、そりゃあ可憐で綺麗なお嬢様たちだから、
大人が大事に扱いたがる気持ちも判るけど。
せっかくこういう場に来たのだ、羽を伸ばしたくもあろうと、
そこは同じ世代同士、若いがゆえの理解もあるお姉さんで。
そんな風に言ってくださり、それじゃあねと立ち去ったのを見送ってから、

 「…ちょっと休んでからですね、訊き込みは。」
 「ですよね。これじゃあ注目浴び過ぎです。」
 「………。(頷、頷、頷)」

小さな肩をそれぞれに萎えさせたお嬢様たちだったのは、
言うまでもなかったり。
(苦笑)
それでも青い空や雄大な海には、
全身延ばしての受け止めたい要素がいっぱいで。
他のお客様のおいでの浜からは、
意識して見ない限りは微妙に視線も外れているのをいいことに、
さっそくデッキチェアに寝そべっての、
こっそりと…訊き込みのプランを練り上げてみた、
いけないお嬢様たちだったりしたのだった。
(笑)





       ◇◇◇



あくまでもさりげなく、
陽やけどめがないか見に来ましたとか、
宿題で、土地土地の民話みたいなお話を聞いて集めているんですよなどと、
若い人から年配のお人までという満遍なさを装い、

  そういえば、
  怖い話がそこの松林にあるんですってねと
  会話を持っていきもして。

「浜へは近寄らせたくないような、
 でもでも、何にもないって訳でもないんだよって伝えたいような。」
「そんな意味合いの、仄めかしじゃないのかなって思ったんです。」

怪しいことが起こってるかもという噂を額面どおりに信じて、
おっかないよぉと近づかないのが得策じゃああるけれど、
もしも関心が起きたなら、用心しいしい来てみてねと、

「不用意には来ないようにねという、
 ぎりぎりの言いようだったのかもしれないなぁって。」

 「…何でそうだと紐解けたんだ、お前らには。」

不服そうな兵庫さんだったが、
その不遜さを、
久蔵お嬢様にひたり寄り添うお嬢様に咎められての
涙目で見上げられては、
語調をあらためるしかないらしく、

 「だ、だから。危険が潜んでいると読めたなら、
  どうしてその段階で大人へ任せない。」

このお嬢様に関しては、七郎次や平八も初対面。
とはいえ、事態の流れとそれから、
久蔵への懐きようをほのぼのと見守っておいでだった、
お傍衆のお二人の態度からして何となくの察しはついて。

 『ほら、幼稚舎時代に奇妙な縁から仲良くなったって言ってた…。』
 『ああ、例の虫を退治して差し上げて。』
 『いやいやいやいや〜〜〜。』

  いまだにそうまで苦手でしたか、シチさんたらと、
  ひなげしさんが呆れたのは、まま余談だとして。(苦笑)

そちらさんはといや、久蔵が探りを兼ねてのこと、

  ―― そちらの小早川は本家にいるか、と

六葩会かかわりの大きな取引ではあるまいなと、
薬や売春行為など、
非合法で物騒な代物には手をかけない組として有名だが、
それでも一応はとメールで訊いてみたのを。
動きはありませぬと お返事した後、
ああでもない こうでもないと、
彼女なりに色々考えあぐねた末、
そういった危ない輩と何か構えておいでのお姉様だったらどうしようとまで
想いが至ったというから、

 「あ、空木一子さんは、一学年下だそうですので、念のため。」
 「ご病弱だったから、海外で静養なさったんですってね。」

  「じゃあなくて。」

ほら、他の人にも案じさせてるじゃないかと、
兵庫せんせえが細い眉をひくりと寄せて見せたものの。
それへはにこりと微笑っただけでスルーをし、
あらためて…その前の指摘、
何で大人へ任せなかったのかの方へと応じた白百合さん。

 「あら。頼もしい方々へ任せたも同然じゃあありませんか。」

  短波探知機や発信機、その他もろもろの素材とお道具を、
  至急こちらへ送ってと、ヘイさんがゴロさんへ連絡したから、
  皆さん“おやぁ”と感づいたのでしょう?

 「離れていても、
  わたしたちを見守ってて下さってるんだなぁって、
  五郎兵衛さんだけじゃあない、
  榊せんせえや
  勘兵衛様までおいでになったのへは、感動しましたもの。」

にっこりと微笑った七郎次の言葉へ、久蔵もうんうんと頷いていて。

 「う……。//////」

これには兵庫さんも言葉に詰まったらしかったし、

 “久蔵殿がお電話したとき、
  アタシらも傍にいたのには気づいてらっしゃらないようだけれど。”

怪しい漁火もどきを見たのが一昨日の晩、
そこから色々と思案を組み立てた末に、
平八が五郎兵衛へ、

 『机の右横の段ボールの小箱、SS-12って書いてあるのがありますから、
  それをこちらへ送ってもらえませんか?
  あと、工具入れとヒヨコの模様の塩ビのソフトケースも一緒に、
  精密機器扱いで、◇◇運送さんへ頼んで下されば。
  ええ、ほら私の髪の色みたいな表紙のメモ帳がありませんか?
  電話番号とメアドがそこに。
  ……え〜〜〜、わたしの髪の方がかわいい色だぞってですかぁ?
  何言ってますか、ゴロさんたら もうもうもうっvv』

途中からそんなカラーへ脱線し倒したお電話をかけたもんだから。
もうちょっと話し込んでそうなと見た暇間、
ついつい自分もこっそりと携帯を取り出していた久蔵であり。

 「…………、…。」

 【久蔵か?】
 【どうした、何かあったのか?】
 【そうか、つつがないのか。
  あまり陽盛りの下にばかり立つなよ? 帽子や日傘を忘れずにな。
  それと泳いだ後の手はちゃんと洗え?
  そのままの手で握り飯やら菓子やらつまむなよ?】
 【後の二人も息災か?あまり羽目を外すなと言っておけ。】

こちらの海の波の音が邪魔なのか、少々声を大きくしていたらしい兵庫だったのと、
そろりと傍まで寄った七郎次だったが、
特に隠そうとはしなかった久蔵だったので、
何とか拾えた会話がそんなであり。

 “凄いなぁ…。”

かすかに拾えるのだろう、かぶりを振って揺れる髪の音とか吐息の音とかで、
頷いたのか“否、否”と否定したのかが判るらしいのだから、

 “アタシとの以心伝心なんて比じゃありませんよねぇvv”

さすがにこうまで遅い時間帯では、仕事中かお休み中だろうと思ったので、
勘兵衛へと電話をする気にはなれなんだ七郎次ではあったけれど。

 “…………。”

メールくらいなら構わないかなぁなんて、
他愛ないことを書いて送ったことが、刺激にでもなったものか。
余裕の手放しでいたものが…五郎兵衛殿へ探りを入れるなり、
互いに連絡を取り合うなりして、
何か起きてるらしいと察知したからこそ、

 「此処へこうしてお顔を揃えられたんでしょうにね。」

  「う…。」×3

あっさり読まれているのだから世話はない。
考えてみりゃあ、この七郎次、
あの大タヌキの勘兵衛の古女房だったのだ、頭の回転は只者じゃないのだと
早くに気づけばいいものを。(「あんたが言うか。」)

「だが、今回は相手も相手、
 現に拳銃まで飛び出したというではないか。
 そんな相手と判った時点で、危険極まりない仕儀だと判ろうもの。
 どうして具体的に公的機関へ報告せなんだ。」

聞いた話では、交通課の警察無線を強力な電波で乗っ取って、
FM局のような、ちょいとふざけたDJまがいのお喋りを流し、
松ヶ浜で大きな花火を打ち上げちゃうよ、綺麗なだけで済めばいいけどと、
物騒な爆破予告とも解釈できそうな、謎めいた言い回しで
鬼さんこちらと問題の浜まで誘導。

 「それでもなかなか動いてくれなかったんですものね。」

荷物ごと立ち去られては何にもならないのに、
ねぇ?なんて互いのお顔を見合わせる彼女らであり。

 「まさか実際に駆け回っちゃあいなかろうな。」

 「ええ。」
 「今回はさすがに、そんなおっかないことは。」

やはり心配したか、お傍衆を先に返し、
自分もお話を聞くのだとこの場へ同座していた、
愛らしいお嬢さんがきゅうとしがみついて来たのへは、
久蔵自身が大丈夫とかぶりを振って見せて、

 「ヘイさん特製、ミストのスクリーンを使いまして。」
 「???」

やだ、これだから中年は遅れてるというんですよ、
ネズミー・シーとか ユーエスジェイとかのアトラクションであるでしょう?

 「噴水や霧をスクリーンにして、
  そこへプロジェクターで映像を映す仕掛けです。」

 「…そんなものまで用意したのか。」

 「大掛かりな、しかも映像もくっきりってもんじゃなくていいなら、
  それほど難しくはありませんて。」

メカはお任せの平八がにっこり笑い、
今日も朝昼晩と新鮮で豪華なご飯をいただいた、
大きな角卓へスケッチブックを乗っける。
そこへ、コピックマーカーで簡単な浜辺の見取り図らしいのを描いて見せて、

 「あらかじめプロジェクターを据えておいて、
  そこから離れたところ、
  スクリーンにしたい位置へ
  霧を特別製水風船で垂れ込めさせて、さて。」

かちりと音がして、室内の明かりが落とされる。
途端に網戸だけにして窓を開け放っていたところから、
外の暗さがそれは容易くなだれ込み。
思わずだろう、小さな手がしがみついて来たのへ、
紅ばらさんが眸を丸くしてから、
やあかわいいなぁと、くすすと頬笑んだのはままおくとして。

 「……お。」

その網戸の一角へ、
ほわんと浮かび上がった影があり。
人の大きさの等身大らしいその影は、
右手をしゅっと勢いよく足元へ向けて振って見せ。
すると、その手から何か長い得物がしゃきんと伸びたところからして、

 「これってまさか…。」
 「……はい、アタシです。/////////」

勘兵衛様、
影絵をしっかと指差したまま、こっち向いて聞かないでくださいよぉと。
一目で気づいて下さったのは嬉しいけれど、その扱いはちょっとと言いたげな、

 “喜んでてどうする。”
 “まあまあ、兵庫殿。”

斜めに外した感慨なのもこの際はご愛嬌だと、
率直に怒った兵庫を五郎兵衛さんが視線で宥めたところで、
影の姿が微妙に変わり、

 「お…。」
 「久蔵ねえさま。」
 「…、…vv(頷、頷)」

寄り添うお嬢様からの、思わず口をついて出たらしい一言へ、
寡黙なお姉様がそれでも“いい子いい子”と視線で愛でる様子も睦まじく。

 “Gキブリが ご縁で仲良くなったとは思えない麗しさですよね。”

ああしまった、こう持ってくとシチさんからは同意を得られないなぁと、
呑気にも思いつつ、
再び手元のリモコンを操作して、
室内に明かりを灯したひなげしさんで。

  って、あれれぇ?
  姿だけでの牽制でしたっけ?
  ……と 思い出してるお人もおいででしょうが、

 「ただ、気づいてるものがいるぞという威嚇だけじゃあない、
  何が何でも今宵、警察に確保してほしかったんですもの。
  そのための足止めが目的でしたから、映像だけってのも何だしなと。」

そこも抜かりなく…と言いますか、
下手に言い損ねたり隠し立てしていては、
やはり危ないことをしたんじゃないかとの誤解を
遅まきながら吹っかけられかねないのでと。
見られてはいなかった部分に関してもちゃんと補足を忘れない。

  曰く、

 「スリングショットで、
  スーパーボールを打ち込まさせていただきました。」
 「………vv」

その勢いのいい通過の感触を、
誰かがすぐ傍らを駆け抜けたように誤解されもしで、
なかなかに効果はあった攻勢だったのだが、

 「…おいおい。」
 「久蔵、そこでVサインは止しなさい。」

保護者様がたとしましては、危ないことには違いなかったようでございます。

 「なんですよぉ、ちゃんと木陰に身を隠して手掛けましたのに。」
 「…、…、…。(頷、頷、頷)」

 「だから。ムキになった相手に詰め寄られていたらどうするか。」

くどいようだが、相手は…何となりゃ人へナイフや銃を向けて、
怪我をさせたり殺すことへさえ怯まぬ種類の人種だ。
前世ではどうであれ、今の身の上は女子高生に過ぎない彼女ら、
そんな連中に襲い掛かられたらどうなっていたかと案じて何が悪いかと、
それこそムキになった榊せんせえだったのへ、

 「映像を浮かび上がらせたところと、
  立ち位置の方向は全然違ってましたけれどもね。」

人ってのは視覚をついつい優先する生き物ですんで、
よほどのコマンダーか、若しくは前以て言われてでもない限り、
見た情報をまずはと優先して反応しちゃうんですよね、と。
今の女子高生の身なればこその、小さくて愛らしい人差し指を立て立て、
説明口調で述べた平八が言うその通り。
ナイフで切りかかったのに、拳銃で狙ったのに、
怪しい影はスススっと消えて不気味だったとは
、後日に聞けた、捕まった連中の証言であり。

 「“幽霊騒ぎには幽霊を”作戦ですよ♪」
 「成程。」
 「感心してどうする。」
 「榊せんせえ怖い。」
 「〜〜〜〜〜。(大丈夫、咬みつかぬ。)」
 「誰が咬むか。」

 “何でそこまで判るんだろう…。”

怖がるように身をすくめたのは判ったものの、
そういう方向でいたところまでは
さしものシチお母様にも判らなかったやり取りだったのも、まま さておいて。

 「あのようなものを置いているから てっきり。」

広間の一角、床の間に立て掛けてあったのが、
土産物に良くある木刀。
成程、そりゃあ案じもするか。

 “……いやいや、そこで既に間違ってないか。”

すっかりと彼女らの破天荒さに慣らされていると、
しみじみ実感した皆様だった。





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  *あああ、やっぱりなんかバタバタしてますね。
   書き洩れがないかという格好で、
   のちのち修正が入るかもですが、
  一応こういう顛末だったということで。

  もうちょっと、後日談を続けます。よかったらお待ちください。


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